この記事でわかること
そうじゃ吉備路マラソン(岡山県総社市)、いよいよ今週末ですね!準備はいかがですか?
シューズ選びや補給計画など、レース前の準備には時間をかけても、意外と「走った後のケア」まで準備しているランナーは多くありません。今回、完走後のリカバリーに特化した完全ガイドを用意しました。

ゴールした瞬間の達成感は最高ですが、その後に待っているのが「もう動きたくない…」という全身の疲労。
実は、走った後のケアは「頑張るもの」ではないんです。スポーツ医学の研究でわかっていることは、「適切なタイミングで、適切に休む」ことが最も回復を早めるという事実です。
この記事を今夜のうちに読んでおけば、ゴール後に「次に何をすればいいか」で迷うことはありません。ぐったりした状態でもできるシンプルなリカバリー方法を、科学的根拠(エビデンス)とともにわかりやすくお伝えします。
動画のナレーションを聞きながら記事を読むのもオススメです!
まず知っておきたい|なぜレース後にカラダが痛くなるの?
マラソン後にカラダが痛くなるのは、走行中の着地衝撃によって筋繊維に微細な断裂が起こるためです。

マラソンでは42.195kmの走行中、1kmあたり約1,500〜2,000回も地面に着地します。この繰り返しの衝撃、特に下り坂での筋肉の使い方が、筋繊維に小さな断裂を引き起こします。
この筋繊維の損傷が「遅発性筋肉痛(DOMS)」の正体。レース後6〜24時間で発症し、48時間前後でピークを迎え、5〜7日で自然に回復します。
大切なのは、この炎症反応は「悪いもの」ではないということ。カラダが損傷した筋肉を修復するために必要なプロセスで、マクロファージと呼ばれる免疫細胞が損傷組織を片付けた後に、筋肉の修復が始まります。
💡 研究でわかっていること
筋肉痛の「乳酸が原因説」は現在では否定されています。乳酸は運動後1時間以内に正常値に戻るため、翌日の筋肉痛とは無関係です。現在は機械的損傷と炎症反応を組み合わせたモデルが支持されています。
※ Cheung et al., 2003, Sports Medicine / Peake et al., 2017, J Applied Physiology
なお、マラソン前から「膝や足裏が気になっていた」という方は、痛みの根本原因が別のところにある可能性もあります。

① ゴール直後|水分と栄養をしっかり入れる
水分補給:体重減少量の1.5倍が目安
レース後は思っている以上に水分が失われています。米国スポーツ医学会(ACSM)の推奨は、体重減少量の150%の水分を数時間かけてゆっくり補給すること。

たとえば体重が1kg減った場合は約1.5Lを目安に、スポーツドリンクや経口補水液で少しずつ飲みましょう。一気に大量に飲む必要はありません。
ポイント:「喉の渇きに従って飲む」が基本。過剰な水分摂取は血液中のナトリウムが薄まる「低ナトリウム血症」のリスクがあるため注意が必要です。
栄養補給:糖質とタンパク質を一緒に
レース後の体は、エネルギー源であるグリコーゲンが枯渇した状態。米国栄養士会・カナダ栄養士会・ACSMの合同ガイドラインでは、できるだけ早めに糖質を補給することで回復が早まるとされています(Thomas et al., 2016)。
おすすめの組み合わせは糖質:タンパク質=3:1〜4:1の割合。専門的に聞こえますが、身近な食材で十分対応できます。

| 食材 | 特徴 |
|---|---|
| 🍙 おにぎり(梅・鮭)+味噌汁 | 糖質+ナトリウム補給に最適。会場近くのコンビニで買えるのも◎ |
| 🍌 バナナ | 糖質+カリウムを素早く補給できる万能食材。消化も早い |
| 🥛 牛乳・豆乳 | 糖質+タンパク質がほどよい比率で含まれ、飲みやすい |
| 🧃 スポーツ系ゼリー飲料 | 固形物がつらいときの代替として有効。アミノ酸入りならさらに◎ |
女性ランナーは「鉄分」にとくに注意
💡 研究データによると、
鉄欠乏の割合は競技アスリートで女性15〜57%、男性3〜31%と、研究によってばらつきはあるものの、女性に圧倒的に多いことが一貫して示されています。
※ Roy et al., 2022, Nutrients
なぜかというと、足底への繰り返しの衝撃で赤血球が破壊される「足底衝撃溶血」に加え、月経による鉄の損失が重なるためです。

レース後の食事で意識したい鉄分食材:レバー・赤身肉・カツオ(吸収されやすいヘム鉄)、ほうれん草・豆腐+ビタミンCで吸収率アップ。
② 帰宅後|冷やして炎症を鎮める
アイシング:10〜15分でOK
膝・足首・ふくらはぎなど、熱感や腫れがある部位にはアイシングが有効です。タオルで包んだ保冷剤を10〜15分当てるだけで十分です。
💡 最新の研究より
「アイシングは回復を遅らせる」という研究も注目されています。長時間・強い冷却は修復に必要な炎症反応を阻害する可能性があるため、「10〜15分、タオル越し」が現在の推奨です。
※ Moore et al., 2022, Sports Medicine(28件のRCTメタアナリシス)
温冷交代浴:シャワーで手軽にできる
温冷交代浴は、複数の研究でレース後の筋肉痛軽減効果が確認されている方法です。特別な設備は不要で、自宅のお風呂でできます。

手順
- 湯船に入る(38〜40℃、2〜3分)
ぬるめのお湯に2〜3分つかります。熱いお湯は疲れたカラダには刺激が強すぎるため、「少しぬるいかな?」と感じるくらいの温度が目安。カラダが温まってじんわり汗ばんできたら、湯船から出るサインです。 - シャワーで冷やす(冷水〜常温、30秒〜1分)
湯船から出たら、ふくらはぎ・太もも・腰まわりを中心に冷たいシャワーをかけます。「冷たい!」と感じる程度で十分で、氷水のような極端な冷却は不要です。30秒〜1分を目安に。 - 温める→冷やすを3〜5回繰り返す
「温める→冷やす」を繰り返すことで血管が拡張と収縮を繰り返し、血液循環が促進されて老廃物が流れやすくなります。 - 最後は「温」で終わる
最後の締めは湯船かぬるめのシャワーで温めて終了。冷えたままにすると筋肉が硬直しやすいため、必ず温で締めくくりましょう。
💡 疲れ果てていて湯船が面倒なときは?
シャワーだけでも成立します。温かいシャワーを2分→冷たいシャワーを30秒、を3〜5回繰り返すだけでOK。「湯船を用意する余裕もない…」という完走直後の夜に、ちょうどいい方法です。
③ 当日夜〜翌日|ストレッチより「筋膜リリース」が効果的
レース直後の強いストレッチはNG
マラソン直後の強いストレッチは筋肉痛の軽減に効果がないことが研究で示されており、代わりにフォームローラーによる筋膜リリースが推奨されています。
実は、「運動後にストレッチをすれば筋肉痛が軽減する」というのは通説であり、科学的には否定されています。
💡 研究でわかっていること
コクラン系統的レビュー(12件のRCT、約2,400名対象)では、運動前後のストレッチが筋肉痛に与える影響は「臨床的に意味のある効果はない」と結論されています。
※ Herbert & de Noronha, 2011, Cochrane Database of Systematic Reviews
ゴール直後のカラダには、すでに筋繊維の微細な断裂が起きています。そこに強いストレッチをかけるのは、「傷ついた場所をさらに引き伸ばす」行為になってしまいます。
レース当日は、10〜15分の歩行でゆっくり心拍数を下げてから、「痛気持ちいい」ではなく「気持ちいい」と感じる範囲の穏やかなストレッチにとどめましょう。
フォームローラーによる筋膜リリースは効果あり

ストレッチとは対照的に、フォームローラーを使った筋膜リリースにはDOMSを軽減するエビデンスがあります。
💡 研究でわかっていること
フォームローラー使用群で24時間後・48時間後の圧痛改善とパフォーマンス回復が確認されました(効果量 d = 0.59〜0.87)。
※ Pearcey et al., 2015, Journal of Athletic Training
ただし、当日は非常に軽い圧力にとどめ、翌日以降に徐々に通常の圧力へ移行するのがポイントです。
筋膜リリースの具体的なやり方・注意点は、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、マラソン前に「フォームローラーの使い方に不安がある」という方は、こちらも合わせてご覧ください。

特に女性がほぐしたい部位
女性は骨盤が広いぶん、太ももの骨が膝に向かって内側に傾く角度(Q角)が男性より大きいため、マラソン後に膝・股関節・骨盤まわりに独特のストレスがかかります。

- 🦵 ふくらはぎ・太もも裏(ハムストリングス)
- 🦴 股関節まわり・腸腰筋
- 🦶 足の裏(足底)
- 💎 骨盤底筋(深呼吸とともに行う骨盤底エクササイズ)
④ 翌日以降|いちばん大切なのは「眠ること」
睡眠中に筋肉は修復される

リカバリーで最も科学的に効果が高いのは、睡眠です。深い眠り(ノンレム睡眠)の間に成長ホルモンが分泌され、損傷した筋繊維の修復が一気に進みます。
💡 研究でわかっていること
睡眠を1晩失うだけで、筋タンパク質合成速度が18%低下することがランダム化比較実験で確認されています。また、マラソン後は身体が自動的に深い眠りの割合を増やすことも確認されています。
※ Lamon et al., 2021, Physiological Reports / Shapiro et al., 1981, Science
レース後は7〜8時間以上の睡眠を確保することを最優先に。翌日の予定もゆったり組んでおけると理想的です。
「がんばって回復しよう」は逆効果
マラソンの翌日に軽いジョギングをして回復を早めようとする方がいますが、マラソン後は通常の疲労とは質が違います。筋肉が「ケガ」に近い状態であるため、翌日の運動が回復を遅らせる可能性があります。
推奨スケジュール

| 期間 | 内容 |
|---|---|
| レース後0〜3日 | 完全休養またはゆっくりウォーキングのみ |
| 3〜7日 | 穏やかなウォーキング+軽いストレッチ |
| 2週間後〜 | 軽いジョギング開始 |
| 1か月後〜 | 通常のトレーニングに復帰 |
深呼吸で副交感神経をONにする
マラソン後はアドレナリンが出て交感神経が優位な状態が続いています。意識的にゆっくりした呼吸をすることで、副交感神経を優位にしてカラダを休息モードに切り替えましょう。
- 鼻から4秒かけてゆっくり吸う
- 口から6秒かけてゆっくり吐く
- これを10〜15分続けるだけで副交感神経が活性化
やってはいけない!レース後のNG行動
- ❌ レース直後に強い静的ストレッチ → 損傷した筋繊維をさらに傷める
- ❌ ゴール直後に座り込む → 筋痙攣が起きやすくなる(最低10〜15分は歩く)
- ❌ レース当日の深いフォームローリング → 翌日以降に温存
- ❌ 15分以上のアイシング → 修復に必要な炎症を過剰に抑制する
- ❌ 過度のアルコール摂取 → グリコーゲン再合成を阻害
- ❌ 痛みがあるのに「根性で走る」 → 疲労骨折などの重大障害リスク
まとめ|レース後のリカバリー4ステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 💧 水分・栄養補給 | 体重減少量の1.5倍の水分+糖質:タンパク質=3〜4:1(女性は鉄分も意識) |
| 🧊 アイシング・温冷浴 | 熱感がある部位に10〜15分のアイシング。帰宅後は温冷交代浴3〜5サイクル |
| 💪 筋膜リリース | 強いストレッチよりフォームローラーが効果的。当日は軽め、翌日以降に通常圧で |
| 😴 睡眠・完全休養 | 7〜8時間以上の睡眠を確保。3日間はウォーキング以外の運動はお休みに |
よくある質問(FAQ)
それでも残る疲れ・違和感には、カラダのプロへ

セルフケアを丁寧に行っても、「いつも疲れが抜けにくい」「特定の部位の痛みが残る」という方は、カラダのクセや使い方のパターンに原因があることがあります。
MOMIJIでは、女性特有のカラダの使い方や骨盤まわりの状態を丁寧に確認しながら、一人ひとりに合った施術とセルフケア方法をご提案しています。
「走るのは好きだけど、いつも疲れが抜けにくい」
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という方も、ぜひ一度ご相談ください。
施術の効果を自宅でも維持する「セルフケア習慣」のつくり方については、こちらの記事もご参考になさってください。

当院には、現役インストラクターのお客様にもお越しいただいています。

参考文献
【DOMS・炎症メカニズム】
- Cheung, K., Hume, P. A., & Maxwell, L. (2003). Delayed onset muscle soreness: Treatment strategies and performance factors. Sports Medicine, 33(2), 145–164. https://doi.org/10.2165/00007256-200333020-00005
- Peake, J. M., Neubauer, O., Della Gatta, P. A., & Nosaka, K. (2017). Muscle damage and inflammation during recovery from exercise. Journal of Applied Physiology, 122(3), 559–570. https://doi.org/10.1152/japplphysiol.00971.2016
【水分・栄養補給】
- American College of Sports Medicine (ACSM), Sawka, M. N., et al. (2007). Exercise and fluid replacement. Medicine & Science in Sports & Exercise, 39(2), 377–390. https://doi.org/10.1249/mss.0b013e31802ca597
- Burke, L. M., van Loon, L. J. C., & Hawley, J. A. (2017). Carbohydrate loading for competition. Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism, 42(5), 500–507.
- Thomas, D. T., Erdman, K. A., & Burke, L. M. (2016). Position of the Academy of Nutrition and Dietetics, Dietitians of Canada, and the American College of Sports Medicine: Nutrition and Athletic Performance. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics, 116(3), 501–528. https://doi.org/10.1016/j.jand.2015.12.006
- Roy, R., Kück, M., Radziwolek, L., & Kerling, A. (2022). Iron deficiency in adolescent and young adult German athletes—A retrospective study. Nutrients, 14(21), 4511. https://doi.org/10.3390/nu14214511
【アイシング・冷水浴】
- Bleakley, C. M., McDonough, S. M., & MacAuley, D. C. (2004). The use of ice in the treatment of acute soft-tissue injury. American Journal of Sports Medicine, 32(1), 251–261. https://doi.org/10.1177/0363546503260757
- Versey, N. G., Halson, S. L., & Dawson, B. T. (2013). Water immersion recovery for athletes: Effect on exercise performance and practical recommendations. Sports Medicine, 43(11), 1101–1130. https://doi.org/10.1007/s40279-013-0063-8
- Moore, E., et al. (2022). Impact of cold-water immersion compared with passive recovery following a single bout of strenuous exercise on athletic performance in physically active participants: A systematic review with meta-analysis and meta-regression. Sports Medicine, 52(7), 1667–1688. https://doi.org/10.1007/s40279-022-01800-1
【ストレッチ・筋膜リリース】
- Herbert, R. D., & de Noronha, M. (2011). Stretching to prevent or reduce muscle soreness after exercise. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2011(7), CD004577. https://doi.org/10.1002/14651858.CD004577.pub3
- Pearcey, G. E., et al. (2015). Foam rolling for delayed-onset muscle soreness and recovery of dynamic performance measures. Journal of Athletic Training, 50(1), 5–13. https://doi.org/10.4085/1062-6050-50.1.01
【睡眠・回復】
- Lamon, S., et al. (2021). The effect of acute sleep deprivation on skeletal muscle protein synthesis and the hormonal environment. Physiological Reports, 9(1), e14660. https://doi.org/10.14814/phy2.14660
- Shapiro, C. M., et al. (1981). Slow-wave sleep: A recovery period after exercise. Science, 214(4526), 1253–1254. https://doi.org/10.1126/science.7302594
- Mah, C. D., et al. (2011). The effects of sleep extension on the athletic performance of collegiate basketball players. Sleep, 34(7), 943–950. https://doi.org/10.5665/SLEEP.1132
【女性ランナー特有の課題】
- Tenforde, A. S., et al. (2016). Parallels with the female athlete triad in male athletes. Sports Medicine, 46(2), 171–182. https://doi.org/10.1007/s40279-015-0411-y
- Mountjoy, M., Sundgot-Borgen, J., Burke, L., et al. (2014). The IOC consensus statement: Beyond the Female Athlete Triad—Relative Energy Deficiency in Sport (RED-S). British Journal of Sports Medicine, 48(7), 491–497. https://doi.org/10.1136/bjsports-2014-093502
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状・疾患については医師・専門家にご相談ください。
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