肩や腰のこわばり、朝起きたときの重だるさ──
そんな不調を「年のせいかな」「忙しいから仕方ない」と我慢していませんか?
「筋膜リリース」は、そうしたケアの中で用いる施術の技術のひとつです。
単に筋肉をほぐすのではなく、体と心の両方のバランスを整えるための方法として、
リハビリやスポーツ医療の分野でも注目を集めています。
この記事では、初めて筋膜リリースを知る方にも安心して読んでいただけるよう、
「筋膜とは?」「どんな人に合うの?」「自宅でできるケアはある?」といった疑問をやさしく解説します。
どうぞ、体の声に耳を傾けながら、あなた自身のペースで読み進めてみてくださいね。
まず筋膜の基本的な知識から始め、その異常がなぜ痛みを引き起こすのかを解説します。その後、具体的な解決策である筋膜リリースとその効果、ご自宅でできるセルフケアの方法、そしてよくある質問にお答えし、最後に全体のまとめを行います。
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はじめに:なぜ今「筋膜」が注目されているのか?

それでは、最初の章です。まず、なぜ今、これほどまでに「筋膜」という言葉が注目されているのか、その背景からお話しします。多くの方が抱える体の不調の、本当の原因が見えてくるかもしれません。

皆さんが日頃感じている肩こりや腰痛。その原因は単なる筋肉疲労だと思っていませんか?実は最近の研究で、筋肉を包む「筋膜」という組織の異常が、これらの不調の大きな原因であることがわかってきました。この記事では、その筋膜の謎を解き明かし、ご自身でケアする方法までお伝えします。
体の「第二の骨格」:筋膜とは?

続いて第2章では、体の「第二の骨格」とも呼ばれる筋膜そのものについて、その正体と重要性を詳しく見ていきましょう。

筋膜とは何か。
筋膜とは、全身の筋肉、腱、関節、骨、神経、靭帯、内臓など、身体のほとんど全ての構造を包み込み、連結し、支える結合組織の総称です
最も分かりやすいイメージは、体全体をぴったりと覆う「ウェットスーツ」のようなものです。しかし、それは単に表面を覆っているだけではありません。筋肉の繊維一本一本から内臓まで、あらゆる組織に入り込み、それらを繋ぎ、支えています。このネットワークのおかげで、私たちの体は連動して動くことができるのです。

筋膜の重要性は、主にこの3つの役割に集約されます。第一に、体の形を保つ「構造の支持」。第二に、筋肉の力を効率的に伝える「力の伝達」。そして第三に、痛みや体の状態を感じるセンサーとしての「感覚の伝達」です。これほど重要な組織だからこそ、ここに問題が起きると様々な不調に繋がるのです。
痛みの原因:「筋膜の異常」とは?

第3章では、その重要な筋膜にどのような異常が起き、それがどうして痛みを引き起こすのか、そのメカニズムに迫ります。

では、なぜ筋膜は硬くなってしまうのでしょうか。主な原因は3つです。1つ目は、スポーツなどでの「使いすぎ」や、逆にデスクワークでの「使わなすぎ」。2つ目は、怪我や手術による組織の「癒着」。そして意外かもしれませんが、3つ目は「ストレス」などの心理的要因です。これらが筋膜の柔軟性を奪い、痛みの引き金となるのです。

筋膜の異常で特に重要なのが「トリガーポイント」です。これは筋膜内にできる痛みを伴う硬いしこりのことで、最大の特徴は、しこりがある場所とは別の場所に痛みを引き起こす「関連痛」です。例えば、肩こりだと思っていた痛みが、実は背中にあるトリガーポイントのせいだった、ということがよくあります。
解決策としての筋膜リリース

さて、痛みの原因が筋膜にあることが分かりました。第4章では、その解決策である「筋膜リリース」について具体的に解説します。

筋膜リリースとは、非常にシンプルです。硬くなってしまった筋膜に対して、ゆっくりと持続的な圧力をかけることで、その緊張を解きほぐす手技療法です。この「じわっとした圧」が、カチカチになった筋膜を元のしなやかな状態に戻すための鍵となります。

筋膜リリースには、専門家が行うものと、ご自身で行うセルフケアの2種類があります。専門家による施術は、症状の根本改善を目的としますが、日々のコンディション維持や運動後のケアには、ご自身で行うセルフケアが非常に手軽で効果的です。
筋膜リリースに期待できる主な効果

第5章では、筋膜リリースを行うことで、具体的にどのような効果が期待できるのか。特に代表的な3つの効果をご紹介します。

筋膜リリースに期待できる効果は多岐にわたりますが、特に初心者の皆さんに知っていただきたいのはこの3つです。「痛みの緩和」「柔軟性の向上」、そして「運動後の回復サポート」です。それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

まず「痛みの緩和」です。腰痛や頭痛など、筋膜の緊張が原因で起こる痛みに効果が期待できます。次に「柔軟性の向上」。これは科学的にも最も証明されている効果の一つで、体が明らかに動かしやすくなります。最後に「運動後の回復サポート」。筋肉痛を和らげ、回復を早めるため、多くのアスリートが実践しています。
自宅でできる!セルフ筋膜リリースの基本

それではいよいよ、ご自宅で簡単にできるセルフ筋膜リリースの基本的な方法について、第6章で解説していきます。

セルフケアでよく使われる道具をご紹介します。背中などの広い面にはフォームローラー、ふくらはぎなどには手持ちのマッサージローラー、そしてお尻や足裏といった特定のポイントにはテニスボールが非常に効果的です。

やり方は非常に簡単です。まず、硬いな、痛気持ちいいな、と感じる場所を探します。次に見つけた場所に道具を当て、自分の体重をゆっくり乗せていきます。そして、その圧をかけたまま深呼吸をしながら、数十秒キープします。たったこれだけです。
実践時における具体的な注意点としては、セルフ筋膜リリースは関節可動域の改善や疲労・痛みの感覚軽減に役立つ可能性を秘めていますが、その効果は一時的であり、方法論の標準化や科学的メカニズムの解明にはさらなる研究が必要です。特に、筋力やスピードを目的とする場合は、効果が不確実であるため、注意深く取り入れる必要があります
よくある質問(FAQ)

最後の章の前に、筋膜リリースを始めるにあたって多くの方が抱く疑問について、いくつかお答えしておきたいと思います。
- 筋膜リリースはどのくらいの頻度や時間行えば良いですか?
 - 
統一見解はありませんが、1部位30秒〜90程度が一般的です。まずは短い時間から始め、体の反応を見て調整しましょう
 - 筋膜リリースは強い痛みを感じるまでやるべきですか?
 - 
いいえ、逆効果です。強い痛みは体を緊張させます。あくまで「痛気持ちいい」と感じる範囲で行うことが重要です
 - 筋膜リリースはもみ返しのような副作用はありますか?
 - 
筋膜リリースは薬物療法を含まないため、一般的に副作用は小さいとされています。また、筋膜リリース中の痛みを除けば、重大な有害事象は見つかっていません。軽い痛みやあざができることがありますが、通常1〜3日で治まります。痛みが長引く場合はやり方を見直してください
 
まとめ:筋膜リリースを始めるあなたへ

それでは最後の章、本日のまとめです。今日から実践していただくために、最も重要なポイントを振り返ります。

本日の内容を3つのポイントにまとめます。第一に、筋膜は体を支える「第二の骨格」であること。第二に、あなたのその痛みは、筋膜からの「SOSサイン」かもしれないということ。そして第三に、リリースは「優しく、持続的に」行うのが最も効果的であるということです。
まずは一日5分、気になる箇所をほぐすことから始めてみてください。自分の体と対話し、その変化を感じることで、より快適な毎日を送るための一助となるはずです。
おわりに
体のこわばりをほぐすことは、単に「筋肉をゆるめる」ことではなく、自分の体と心に、やさしく気づく時間でもあります。
頑張りすぎた日も、少し力を抜いて深呼吸してみましょう。
「なんとなくしんどい」「疲れが抜けにくい」──
そんなときこそ、体が教えてくれているサインです。
岡山県総社の女性・こどもの整体院 MOMIJI では、筋膜リリースをはじめ、からだ全体のバランスを整える施術を融合させながら、お一人おひとりの心にも寄り添う施術を行っています。
初めての方も、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの体がまた軽やかに動き出し、
心まで穏やかにほどけていくお手伝いができれば嬉しく思います🍁
参考文献
- Lv, Y., & Yin, Y. (2024). A Review of the Application of Myofascial Release Therapy in the Treatment of Diseases. Journal of Multidisciplinary Healthcare, 17, 4507–4517. doi:10.2147/JMDH.S481706.
◦ [出典の概要] 筋筋膜リリース療法(MFR)の慢性疼痛、線維筋痛症、脳卒中後の回復、がん疼痛など、様々な疾患治療における応用と有効性をまとめたレビュー論文。 - Ajimsha, M. S., Al-Mudahka, N. R., & Al-Madzhar, J. A. (2015). Effectiveness of myofascial release: systematic review of randomized controlled trials. Journal of Bodywork and Movement Therapies, 19(1), 102–112. doi:10.1016/j.jbmt.2014.06.001.
◦ [出典の概要] ランダム化比較試験(RCT)を体系的に分析し、MFRの有効性を評価したレビュー。MFRは筋筋膜複合体に低負荷かつ長時間のストレッチを適用し、最適な長さを回復させ、痛みを減らし、機能を改善する目的を持つ。 - Martínez-Aranda, L. M., Sanz-Matesanz, M., García-Mantilla, E. D., & González-Fernández, F. T. (2024). Effects of Self-Myofascial Release on Athletes’ Physical Performance: A Systematic Review. Journal of Functional Morphology and Kinesiology, 9(1), 20. doi:10.3390/jfmk9010020.
◦ [出典の概要] アスリートを対象としたSMR(フォームローラー、マッサージローラー等を使用)が、関節可動域(ROM)、筋力、スピード、回復などの身体パフォーマンス変数に与える影響を分析したシステマティックレビュー。 - Ferreira, R. M., Martins, P. N., & Goncalves, R. S. (2022). Effects of Self-myofascial Release Instruments on Performance and Recovery: An Umbrella Review. International Journal of Exercise Science, 15(3), 861–883. doi:10.70252/GOXI7904.
◦ [出典の概要] SMR器具(フォームローラー、マッサージローラー、ボールなど)がパフォーマンスと回復に与える影響をシステマティックレビューから総括したアンブレラレビュー。短期間の柔軟性および回復関連のアウトカム向上に有益であると結論付けている。 - Cheatham, S. W., Kolber, M. J., Cain, M., & Lee, M. (2015). The effects of self-myofascial release using a foam roll or roller massager on joint range of motion, muscle recovery, and performance: A systematic review. International Journal of Sports Physical Therapy, 10(6), 827–838.
◦ [出典の概要] SMRが関節可動域(ROM)、筋肉の回復(DOMSの減少)、パフォーマンスに与える影響を検証したレビュー。SMRはROMの短期的向上、および激しい運動後の筋機能低下の軽減に有効である可能性が示唆されている。 - Pawlukiewicz, M., Kochan, M., Niewiadomy, P., Szuścik-Niewiadomy, K., Taradaj, J., Król, P., & Kuszewski, M. T. (2022). Fascial Manipulation Method Is Effective in the Treatment of Myofascial Pain, but the Treatment Protocol Matters: A Randomised Control Trial—Preliminary Report. Journal of Clinical Medicine, 11(15), 4546. doi:10.3390/jcm11154546.
◦ [出典の概要] 筋筋膜痛に対する筋膜操作(FM)の標準プロトコル(STP)とその修正プロトコルの有効性を比較したランダム化比較試験(予備報告)。FMが疼痛緩和に有効であり、特に標準プロトコルが最も迅速かつ顕著な効果をもたらすことが示されている。 - Wikipedia. Myofascial release.
◦ [出典の概要] 筋膜リリース(MFR)の概要、歴史、代替医療としての位置づけ、および効果に関する科学的根拠の現状について言及している。 - Mayo Clinic. Myofascial release therapy: Can it relieve back pain?
◦ [出典の概要] 筋膜リリース療法(MFR)の基本的な説明、トリガーポイントとの関連、腰痛治療における有効性の研究状況について解説している医療機関の情報。 - Essential Therapies Podcast (Dr. Cindy Hodgson & Dr. Carol Davis). Ep. 50 – Fascia Research Congress Reflections. (YouTube Transcript)
◦ [出典の概要] ジョン・F・バーンズ式MFRのアプローチと原則(持続的リリース、エネルギー、共鳴)、筋膜研究における科学的進歩(メカノトランスダクション、H3O2結晶水、インターロイキン応答)、そして感情、意識、筋膜の関連性(内受容感覚)に関する臨床家視点の議論と経験談。 - Hands On Health Physical Therapy and Wellness, LLC (Dr. Carla Stecco, MD). The Latest Science on Fascial Function with Dr. Carla Stecco, MD at the FRC 2025. (YouTube Transcript)
◦ [出典の概要] カルラ・ステッコ博士による筋膜の解剖学および病理学に関する研究。筋膜の性ホルモン受容体、筋筋膜痛が女性に多い理由、EDS患者の筋膜の変化、筋膜が筋力の約30%を伝達する役割、浅筋膜と深筋膜の自律神経支配の違い(交感神経)、および筋膜操作(FM)の治療原則について解説。 
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